日本の"家計簿"文化を世界に――300万ダウンロードを超えた「おカネレコ」の狙い

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日本の"家計簿"文化を世界に――300万ダウンロードを超えた「おカネレコ」の狙い

引用http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150717-00000032-zdn_m-prod
2秒で入力できる簡単さで人気を集め、300万ダウンロードを記録した「おカネレコ」。競争が激しい家計簿アプリの中で高い人気を獲得している理由とは何か、また今後の展望とはどのようなものなのか? おカネレコを提供するスマートアイデアの代表取締役社長CEOの江尻尚平氏に話を聞いた。?

●お金がないから家計簿アプリを作った  

数あるスマートフォンアプリの中で、密かに激しい競争を繰り広げている人気ジャンルの1つが"家計簿"。多くの家計簿アプリがしのぎを削る中、iPhoneアプリで頭一つ抜きん出た存在となっているのが、スマートアイデアの「おかねレコ」だ。  

おカネレコは支出の入力を重視した家計簿アプリで、カテゴリを選択した後に金額を入力し、「入力」ボタンをタップするだけという手軽さが最大の特徴だ。6月11日に300万ダウンロードを記録したほか、執筆時点でも、家計簿アプリが集まるiOSの「ファイナンス」ランキングにおいて、有料・無料ともにトップ3の位置をキープするなど、人気の高さが見て取れる。  

なぜ、スマートアイデア社長の江尻氏は家計簿アプリを開発しようと思ったのだろうか。その理由を聞いたところ、江尻氏自身「お金がなかった」ことが大きく影響しているという。  

元々携帯電話メーカーに勤めていた江尻氏は、独立してスマートアイデアを立ち上げ、市場調査関連の仕事をしていた。しかし受注が減少してお金に困り、一時は一食200円で暮らさないといけないほどになってしまった。そこで節約に励むべくスマートフォンでさまざまな家計簿アプリを試してみたものの、「ズボラな方なのでなかなか続かなかった」(江尻氏)。そこで江尻氏は、自分でも続く家計簿アプリがあれば喜ばれるのではないか? とアプリ開発に着手。完成したのがおカネレコだった。

●レシート取り込み機能をメインにしなかった理由  

江尻氏自身が挫折を経験したように、実際のところ家計簿を真面目に付けようとなると、毎日の収支だけでなく、最初に現金をいくら持っているのか、支出する項目や1カ月の予算額など、使い始める前にさまざまな決め事が必要で、面倒になってしまうことが多い。そこで江尻氏は、まず誰でも続けられるよう、面倒な要素を全て取り払うことを考えた。  

そして事前の決め事だけでなく、「当時は自分の収入が伸びなかった」(江尻氏)ことから収入自体の入力も省略(現在は収入の入力もできるようになっている)、支出のみを入力する方式を選んだ。その上で、誰もが馴染みのある計算機をモチーフにしたデザインとし、アプリを起動すると入力画面がすぐ現れて素早く入力できるなど、使い勝手に配慮したインタフェースを作り上げていったという。  

さらに江尻氏が、もう1つこだわりを見せたのが、カテゴリ別に支出の割合を表示するグラフ表示だ。「グラフを見れば、何にお金を使っているかが一目で分かる。これくらいシンプルじゃないと使い続けられない」(江尻氏)とのことで、一目で無駄な支出がチェックできる分かりやすさが、特に女性から人気を獲得する要因になったと分析する。  

しかし最近の家計簿アプリのトレンドを見ていると、少し前から買い物のレシートを撮影し、機械あるいは人力でスキャンするスタイルの家計簿アプリが人気を得ている。おカネレコにも有料版にはレシート読み取り機能が付いているが、なぜこの機能をメインにしなかったのだろうか。  

江尻氏は、「レシートのスキャンは、機械による読み取りでは認識率が100%にはならず修正が必要になる。人力の読み取りでは結果が返ってくるまで時間がかかる」など、スピード感に欠けると感じたと説明する。その結果、ユーザーによる手入力を突き詰めた方がスピーディーだと判断。現在の仕組みに落ち着いたのだそうだ。

●レビュー掲載を機に女性のiPhoneユーザーから人気を獲得  

こうして完成したおカネレコだが、2012年8月のiOS版公開直後から順調にダウンロード数が伸びた訳ではない。App Storeではアプリ公開直後の初動が、その後のアプリの人気を左右すると言われているが、おカネレコの初動は決して大きなものではなく、「ダウンロード数がせいぜい数百程度で、相当不安だった」と江尻氏は振り返る。  

それでも江尻氏は、おカネレコに対するニーズは絶対あるものと信じ、完成度を高めるために公開後もアップデートに積極的に取り組んだ。そして3カ月間継続的にアップデートを続け、機能がある程度そろったところで、あるレビューサイトで紹介されるという大きな転機が訪れた。これをきっかけにダウンロード数が急速に伸び、App Storeのランキングにも定期的に入るようになった。この勢いが現在も続き、継続的にダウンロード数が伸びる要因となっているという。  

現在、おカネレコのユーザーは7割が女性で、20-30代の会社員が中心とのこと。女性が家計管理に利用する一方、男性はお小遣いの管理、スマートフォンゲームの仮想通貨やギャンブル資金の管理など、趣味・娯楽に使う割合が多く、明確に用途が分かれているそうだ。  

そしてもう1つ、OS別のユーザー数が大きく違うのも特徴だ。iOSの利用者がおよそ9割を占める一方で、Andoridの利用者は1割に満たないという。その理由として江尻氏は、「Andorid版の提供がiOS版の約1年後と遅くなり、すでに他のアプリが人気を獲得してしまっていたため苦戦している」と説明する。

●ユーザーの意見を取り入れながら小まめにアップデート  

公開当初のおカネレコは、「とにかくニーズがマッチしてユーザーが定着することが重要だと思っていた」(江尻氏)ことから、アプリを完全無料で提供し、広告も導入していなかった。だがダウンロード数が増え、ニーズがあることが明確になったことから、公開から半年後の2013年2月、電卓機能やレシート読み取り機能などが利用できる有料版の「おカネレコプレミアム」をリリースした。  

現在はそれに加えて、クラウドにデータを預けられ、スマートフォン以外のデバイスでも利用できる月額制の会員サービスも提供。無料版には広告も導入した。江尻氏によると、現在の売上比率は「課金と広告がほぼ半々」とのことで、中には無料版の機能に満足したからと、お布施のような形で有料版を購入するユーザーもいるという。それだけに、アプリの満足度を高めることが継続したビジネスにつながると、江尻氏は考えているようだ。  

こうした経験からスマートアイデアでは、ユーザーの声に耳を傾け、月に1回はアップデートを実施して新機能を追加することに力を入れている。具体的には、App StoreやGoogle Playのアプリ評価欄をチェックするだけでなく、ユーザーに直接アンケートやインタビューを実施したり、リアルな場でユーザー同士が集まり、アプリの使い方や節約術に関して情報交換をするイベントなどを開催するなどして、ユーザーとの接点を増やしている。その上で、おカネレコがどのように使われているのか、ユーザーがどのような機能を欲しているかを把握し、アプリ開発に反映してるのだそうだ。  

ユーザーの意見の中には、アプリ開発者からすると見えにくいものも多いという。その代表例が「紙に出力したい」という要望だ。ITに詳しい人達は「今更、紙への印刷が必要なのか?」と考えてしまいがちだが、女性層やITに詳しくない層からの、紙に残したいニーズは高いのだそうだ。こうした自分達の視点から見えない声に応えることが、満足度を高める上で重要な意味を持っているのではないかと、江尻氏は話す。  

一方、おカネレコ自体がシンプルさを重視しているだけに、「アップデートで機能を増やしながらアプリをいかにシンプルに保つかは課題」(江尻氏)でもある。そこで江尻氏は、支出の入力という起動画面のインタフェースは変更せず、メニューの一段奥に入ったところに追加機能を入れ、アプリの操作に詳しくなった時点で追加機能を使ってもらう仕組みにしている。 ●世界を見据えベトナムで開発、日本の家計簿文化を世界に発信  

ちなみにスマートアイデアでは、おカネレコの開発当初からベトナムでのオフショア開発体制を敷いている。その理由は、元々江尻氏がベトナムと縁があり、質の高いエンジニアを紹介してもらったことが大きいとのこと。現在はベトナムに「スマートアイデアスタジオ」という子会社を設立し、アプリ開発を進めている。

だが、言語や文化が異なる海外の人材を活用するオフショア開発には、多くの難しさもある。江尻氏は上手に進めるための秘訣として、「なるべくコミュニケーションを取ることが重要」と指摘する。少しでも分からないことがあると開発が進まなくなるので、毎日Skypeを使って連絡を取り合い、すぐその場で問題を解決する体制を整えているのだそうだ。  

ベトナムで開発しているもう1つの大きな理由が、おカネレコの"世界展開"だ。実際おカネレコは、当初よりまず英語版を開発し、それをベースに日本語にローカライズする手法を取っている。利用者の9割は日本のユーザーだが、英語版の海外提供もすでに行っており、米国を中心として1割ほど海外ユーザーも抱えているという。  

実は"家計簿をつける"という概念は日本独自のものであり、他の国には家計簿を付ける文化自体がないと、江尻氏は話す。米国では税務申告のため会計管理をする習慣はあるものの、"家計を管理"という考え方がないのだそうだ。それにも関わらず、海外でおカネレコがダウンロードされていることから、「実は米国でも、こうしたアプリが求められていたのではないか」と江尻氏は捉えている。  

その背景には、リーマン・ショック以降カード破産が増え、個人で資産管理をする必要性が高まっていることが影響しているようだ。実際、米国では学校でファイナンシャル・リテラシーを高めるための授業があり、そこでおカネレコが紹介されるケースもあると、江尻氏は話す。  

おカネレコは現在、米国からカナダやイギリスなど英語圏でユーザーが広がっている状況だ。今後は、より市場の大きい中国語圏へ向け、中国語版の開発も検討している。おカネレコが日本の家計簿文化を世界に広める契機になるのか、今後が大いに期待されるところだ。


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